コロナは存在しないの主張があり、それに対してそんなのは陰謀論だの主張がある。これに関して考察する。
まず、コロナは存在しないの主張には根拠となる情報がある。
米国やドイツの相当数の医療従事者からコロナじゃなくてもコロナ死にカウントしてるとの指摘が出てるし、米国上院議員からも死亡診断書にコロナと書けば補助金が出るようになってると指摘する発言がある。イタリアでもコロナ死にカウントされてるものの大半は別の死因だったの指摘がある。
さらにはPCR検査の信頼度に関しても疑義が提出されている、PCR法開発者自身がPCR検査はウィルス感染症の診断には使えないと発言してるし、ファイザー製薬の元副社長もPCR検査による陽性は殆ど偽陽性で、感染の有無を判定するものではないと発言している。そもそもPCR検査自体、微細な遺伝子断片を発見するためのもので、ウィルス感染で生じる抗体反応を調べるものではない。
これらの情報を組み合わせて総合的に判断するなら、コロナは存在しないの仮説が出てくるのは特におかしいわけではない。実際、コロナウィルスを分離した人はまだいないと言う、そのものズバリに近い情報もある。
したがって、もしコロナは存在しないの主張に反論したいなら、上に挙げた「コロナは存在しない」の主張の根拠となってる情報にあたって、その情報の信憑性を崩したり、論理的な破綻がないかを検証すればいいのだが、そういう論理展開を見せてくれる反論には今まで1度もお目にかかったことがない。
これまでの説明を念頭において考えれば分かるが、「コロナは存在しないは陰謀論だ」の主張にはなぜそう考えるかの根拠になる情報の提示がない。根拠となる論理の提示もない。だから「コロナは存在しないは陰謀論だ」の主張を噛み砕いて説明すると、「私はコロナが存在しないとは思わない」くらいの意味しかなく、個人の感想の域を出ない。
しかも全く何も考えずに印象だけで判断しているのだろう。頭を使って考えてるなら、その思考の道筋の説明くらいはするはずだ。その説明が妥当かどうかは別としてもだ。だが、その説明すらもないのだから、何も考えずに印象だけで判断してると見ていい。無論、そんな主張は読むだけ時間の無駄である。
陰謀論だからと言う理由をつけて何かを否定する主張は他のトピックでも見受けられる。例えば、今年の春、俳優の三浦春馬の死が自殺として処理されたが、この事件も興味深い例として挙げることができる。
詳しい説明は省くが、本当に自殺なのか疑問を感じさせる報道ではあった。そこで三浦春馬自殺偽装説、他殺説がネットで賑わった。それはそれでいいことだ。報道を鵜呑みにして何も疑わないよりは、疑って深掘りする人がいた方がいい。哲学者デカルト言うところの方法的懐疑を実践している訳だから、当たってる当たってないは別としてこうした作業には意味がある。それを陰謀論者などと批判する人間の方が分かってない。
三浦春馬自殺報道の後も竹内結子をはじめ、三浦春馬と個人的な繋がりを持つ自殺者が何人も続いた。それに関する説明は省くが、私の興味を引いたのは「三浦春馬を殺して自殺に擬装したのはCIAだ。目的は口封じ」なる主張が出てきて、それは陰謀論だと否定する人がSNS上でまあまあの数見受けられたことだ。
少し考察してみよう。CIAが三浦春馬を殺したのだろうか?それは証拠不充分でよく分からない。だが、CIA側に理由があれば、それもあり得るかもしれない。マリリン・モンローの変死はCIAの仕業とする話しは広く流布されてるし、さらに他の情報と突き合わせて「三浦春馬CIA暗殺説」が仮説として組み立てられたと考えることができる。しかし、この仮説が事実として証明されることは、おそらく永久にあるまい。秘密工作をやってる国家機関の活動情報が公にされることはまず無いし、米国の情報公開法は請求された案件のみに公開が検討される。数十年後に三浦春馬の件を情報公開請求する人がいるとは思えない。
だが、このことは三浦春馬CIA暗殺説は陰謀論だと否定する側にも言える。CIAのような秘密工作をしてる国家機関が、何をやって何をやらないかなど一般人に分かるわけがないのだから「CIAが三浦春馬を暗殺した」に反論しても、それを証明する証拠など、どこにもありはしない。
ようするに「三浦春馬CIA暗殺説」もその否定も、仮説でしかないのだが、陰謀論だと付け加えて否定する人は「コロナは存在しないは陰謀論」の主張と同じく、なぜそう考えるのかの根拠となる情報を提示しないし、根拠となる論理も提示してない。結局、どんなトピックでもそれは陰謀論だと否定する主張は、何の根拠も示さない個人の感想でしかない。
ここまで考察すれば、陰謀論なる言葉の用語法が分かってくるだろう。何の根拠もない個人の感想をそのまま述べても説得力が期待できないので、説得力を補強するために陰謀論なる言葉を付け足して使うのである。そうすれば何となくもっともらしい否定に感じられるから不思議だ。だが、そう感じるのは所詮錯覚に過ぎず、実際には根拠も何もない無意味な独り言レベルの主張でしかない。
個人のSNSでよく見かけられる「それは陰謀論だ」と言う否定論だが、それが個人のSNSであればそれも仕方のないことなのかもしれない。SNSをやってる人の全てが高い思考能力を持ってるわけではないだろうし、人間の平均的な思考能力がどの程度かを考えれば、こんなものなんだろうと思う。
しかし、影響力の大きい大手メディアがこういう主張をするようでは問題だ。困ったことに、そのようなことが現実に起こっている。
トランプ大統領が予備選で不正選挙が行われたと発言するたびに、CNNは「そんなの陰謀論だ」と主張する。もちろん、なぜ陰謀論と見なすのかその理由は語らずにだ。
世界中にニュースを発信してるメディアが、個人のSNSの、どちらかと言えば質の低い方のSNSの投稿と同じことを言ってるようでは困るのだが…