リーマンショック以前の話しだ。
小沢・鳩山民主党は自民党が推す日銀総裁人事をことごとく拒否して、最終的に日銀生え抜きの白川方明が総裁に就任した。新聞TVは民主党の拒否理由を詳しく解説しなかったが、自民党が日銀への国債押し付けを画策して、それを承諾する総裁を望んでたのは明白だった。
この当時、国内銀行の預金総額は1000兆円あまり。国債発行総額がそれに近づいており、今後も国債を発行し続けるなら、外国資本か日銀に引き受けさせないと数年後には予算が組めなくなる状況が来ていた。だが外国資本に引き受けてもらうにはドル建て発行が最もスムーズにできるのでドル建てにせざるを得ず、しかしそれをやると、もしもの場合にデフォルトの危険がある。
その危険を避けるには日銀の国債引き受けが必要で、そのため自民党は国債引き受けを承諾する日銀総裁を必要としていた。
だが、これはモラルハザードであり、破滅するまで国債発行をやめられないジャンキー状態になるので、小沢・鳩山民主党は自民党の総裁人事を拒否して、高い金融知識と政権に忖度しないモラルを兼ね備えた日銀総裁を望んで白川方明の日銀総裁就任にこぎつけた。
当然、就任後の白川総裁は国債引き受けを承諾しない。
だが、日銀の国債引き受けが実現しないと、いずれ資金調達ができなくなるから、その時が来れば強制的に緊縮財政にならざるを得ない。
緊縮財政で困るのは公金チューチューしている腐敗勢力。緊縮財政になった後も公金チューチューするには国民向け行政サービス、要するに社会福祉関連をバッサリ切り捨てて予算縮小しないとチューチューする資金を確保できない。だが、あまりにも過激に福祉予算を切り捨てると国民が怒って政権崩壊しかねない。
そのような訳で、政局を荒立てず、以前通り変わらず公金チューチューするためには日銀の国債引き受けが絶対条件だった。
蛇足だが、財務省もこの件には絡んでる。財務省の職務は各省庁の要求する予算をできるだけ実現することであり、その点財務省の官僚を日銀総裁にする人事が昔から画策されていた。
とは言え、これは中央銀行の独立性をないがしろにする禁じ手なので本来は御法度だが、自民党と財務省はその禁じ手をやろうとする点で利害が一致しており、当然結託していた。
こういう背景があるので青山繁晴が言い出した「首相に返り咲いた安倍晋三と財務省が反目してる」は完璧な嘘だと聞いた瞬間に分かる。
話しを戻して、腐敗勢力の利益実現の障害になっていた日銀の国債引き受け容認の世論を作る為、日銀叩きがマスコミのキャンペーンになっていた。
この時、「昔、陸軍。今、日銀」のキャッチフレーズで日銀叩きの急先鋒だったのが森永卓郎。
曲がりなりにも経済評論ができるだけの知識を持ってる森永が、中央銀行の国債引き受けが禁じ手であることを知らない訳はない。
週刊東洋経済や週刊ダイヤモンドにたまに経済評論を頼まれる本業が金融機関所属の人なら、アルバイト的な経済評論で本当のことを言って評論の仕事が来なくなっても生活に困らないが、専業評論家の森永は企業や政府の利益に合致することを言ってないと干されて収入激減するので、本当のことよりクライアントの望むことを言うようになる。
古代中国ではこういうのを曲学阿世(学を曲げて世におもねる)と言い、現代では御用学者または御用評論家とも言う。
2009年の小沢・鳩山民主党が掲げた政策、特別会計の追及、官僚の天下り自粛要請、事業仕分け、コンクリートから人へ、これらは日銀の国債引き受けを拒否しても財源が確保できる措置だった。特別会計を明るみに出し、無駄を廃し、天下りのために不必要な公共事業を民間に発注させない、不要不急の支出を減らす。みんな財政再建のために必要なオーソドックスな措置である。
だが、これらは全て利権と関わってるので徹底的な潰しが行われて実現せず、逆に民主党が潰された。そして今の日本の凋落がある。
民主党政権まではジャパゆきさんと言えば、新興国から日本に来るセックスワーカーのことだったが、今ではセックスワーカーとして外国に行く日本人女性のことである。日本人セックスワーカーが激増したので、渡航先から入国拒否を食らう例まで出てきている。
民主党が掲げる改革が実現していれば、ここまで急速な凋落はなかったろう。
スポットで経済評論を頼まれる金融業界の人で名前は覚えてないが、民主党政権を評して「あれが日本を改革する最後のチャンスだったのだ」と語った人がいたが、この批評は正しかったろう。
その最後のチャンスを潰す活動をしてたのが森永卓郎であり、こやつが世のため人のためになるような経済評論をする訳がない。レ・ミゼラブルのジャン・バルジャンみたいに改心したのなら良いが、以前の「昔、陸軍。今、日銀」のようにザイム真理教なんてキャッチフレーズを作って嘘八百並べ立ててるし、過去の悪事の告白がないのだから改心はしていまい。
ザイム真理教に関しては他で批判してるし、長くなるので、ここでは取り上げない。
竹村健一や堺屋太一もそうだが、名の知れた評論家ほど、TVやその他に露出する機会が多く、その機会が手厚い収入を伴っているのだから、その味をしめた評論家は金を出してくれる人や団体の利益に合致することしか言わなくなる。
名の知れた評論家ほど、注意しなければならない。